さいはてたい
いつか、いつか、いつかと思いながら、
その機を計りすぎ、だからといって、今、
その機という特段の理由はないのですが、
『さいはてたい』について綴りたいと思います。
2021年10月、文芸社文庫から発売されました。
あれから、1年と3か月。
時折、文芸社企画編集室さんのTwitter「既刊紹介」で、
取り上げていただき、心からうれしく感謝しています。
2009年の初版『さいはてたい』は、テレビドラマ化という、
夢のような現実を経て、次の夢や希望が芽生えました。
本作は、3年後を描いた『それから』を
書き下ろし収録させていただきました。
初版から10年以上の時が経ち、
「認知症」や「介護」に対する国や世間の発信や取り組みも、
私自身の心の持ち様も大きく変わったように思います。
『さいはてたい』
本書を紹介してくださるとき、また、声をかけてくださるとき、
「認知症の小説」「介護の小説」とカテゴリー化されます。
確かに、そうです。そのとおりなのです。
「認知症」や「介護」を通じて、「家族」を描き、
主要人物の仁、睦美さん、響子さんだけではなく、
登場人物すべての人に、
『ひとりで抱え込まないで』と声をかけながら、
一進一退、編集者Kさんにご助言をいただき、
あきらめることなく、綴り遂げました。
それは読んでくださる方々へも同じ気持ちで、
感想を知り、伝わっていたことがわかると、
不確かなものが形ある情景へと満ち溢れていきます。
どの立場なのかわからないし、
すべての人ではないですが、
「認知症」や「介護」は、日常生活のなかに現れます。
主人公の仁は、『それから』
”花”が癒しをもたらすようになった。
愛する人は画面越しの他人になった。
下北沢の向かう先はライブハウスではなくなった。
日々は常で常じゃない。
心は動く。心は止まる。心は躍る。
不規則に繰り返して、日常は変わっていく。
そして、仁は「睦美の今」を歌に込めた。
いつの時代に憧れ帰るの?
会いたい人はそばにいますか。
遠く見つめた、空の彼方に、
愛しい日々の答えがある。
『さいはてたい』
終生、私は愛し続ける。
どうぞ、あなたの愛しい日々を描き続けてください。
もしも、そのカケラになれば、
この上ない喜びです。
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